学校では、「優しい人、誠実な人になりましょう」などと教えられますが、実際に社会に出ると、周りはそんな人ばかりじゃないことに気づきます。
上司は自分のことを理解してくれて、部下や後輩は素直で前向き、同僚はみんな協力的・・というのは、もはや都市伝説です。
理不尽な上司、反抗的な部下、非協力的な同僚など、職場で人間関係に苦労するのは世の常です。
実際、人間関係の問題は、仕事を辞める理由のなかでもよく挙がるもので、それだけ職場の人間関係に苦しんでいる人は多いです。
そこでこの記事では、仕事での人間関係に苦しんでいる人に向けて、そのストレスを和らげる方法についてまとめました。
ポイントとなるのは、相手が変わることを期待するのではなく、自分の対応を変えることです。
職場の人間関係に苦しんでいる人は、この記事を読めば、苦手な相手にもうまく対応できるようになるでしょう。
目次
あなたにストレスを与えてくる人間の2タイプ
まずは、あなたにストレスを与えてくる人間の種類について紹介します。
モラルの低い人間
まず思い浮かぶのはこのタイプでしょう。
- パワハラ・セクハラの常習犯
- 自己中心的
- やる気がない
- すぐ感情的になる
- えこひいきをする
など、そのパターンにはキリがありませんが、そのどれもが厄介で、友人としては間違いないく付き合いたくないタイプです。
このタイプの人間が、上司や顧客など、立場の上の人間だった場合に特に厄介で、かなりのストレスになってしまいます。
仕事にシビアで厳しい人
実は、人間関係がストレスになるのはモラルの低い人間だけはありません。
本来は人間的に良い人なのに、上から厳しく成果を求められているために、周りにも厳しく当たっているタイプの人もいます。
モラルの低い人間は、仕事をサボったり、自分が楽をすることばかり考えますが、このタイプは他人だけではなく、自分にも厳しく仕事をしています。
仕事面では成果を出していたり、経営層から信頼されているケースが多いですが、いずれにせよ、一緒に仕事をする身としてはストレスがかかります。
職場環境では、理不尽なことがたくさん起こり、色々な人にストレスがかかります。
そのため、このケースのように、本当はいい人であっても、ストレスによって変わってしまうことも珍しくありません。
基本方針「相手に期待しないこと」
どちらのタイプでも、人間関係のストレスを克服する根本的な考え方としては、相手に期待をしないことです。
性根の腐った人間も、ストレスによって変わってしまった人でも、相手の性格や行動を変えることはかなり難しいです。
それならいっそのこと、理解ある上司、素直な後輩などは都市伝説的な存在だと開き直り、
「上司という存在は、自分のことを理解してくれるものだ」
「部下という存在は、自分のことを素直に聞いてくれるものだ」
などと期待しない方がいいです。
そう簡単には変わらないものを無理やり変えようとしたり、変わることを期待することほど精神的に苦しいことはありません。
「上司がクソすぎる」「後輩が面倒くさい」と悩み続けるよりも、あなたの対応を変えたほうが、状況が良くなりやすく、コミュニケーションスキルも上がります。
どんな相手にも有効な3つの正攻法

では、具体的にはどのように行動を変えればよいでしょうか。
まずは、どんな相手にも使える、正攻法を紹介します。
仲良くなってしまう
ストレスを与えてくる相手とは、なるべく関わらないのが一番ですが、そこを我慢して距離を詰めると、仕事がやりやすくなることがあります。
そして、一緒にご飯を食べたり、積極的に雑談をしたり、お土産や差し入れなどをしてみましょう。
好印象を持ってもらうことで、風あたりが弱くなり、仕事しやすくなることが多いです。
気が乗らないかもしれませんが、あえて仲良くしてみることで、関係性を変えられる可能性があります。
なお、仲良くなるといっても、他の人への嫌がらせなどのネガティブな言動に同調する必要はありません。
友好的に接しつつ、ネガティブな言動には乗らないという線引きを意識しましょう。
思いやりフレーズを入れる
話しかける時や、仕事を指示・依頼するときに、「忙しいのにすみません」「大変ななか申し訳ないけど」などの、相手を思いやる言葉を前置きしてみましょう。
このような、「思いやりフレーズ」を入れることで、相手の警戒や不満を和らげることができ、依頼が受け入れられやすくなります。
また、日ごろからのこのような言葉を使うと、じわじわと好印象を与えることができ、人間関係も穏やかになることが多いです。
特に、周りにストレスを与える人間は、周りと衝突してばかりなので、こういう思いやりフレーズを普段言われないことが多く、思った以上に態度が柔らかくなることもあります。
熱心さで感化する
100パーセントとはいきませんが、多くの人は、人が真剣に努力している姿に感化される傾向があります。
「一生懸命仕事をしている」という印象を持ってもらえれば、そんなあなたに協力的に動いてくれることもあります。
なにをもって「一生懸命仕事をしている」と思われるかは、環境にや人にもよりますが、
- 朝早く職場に来て、夜遅くまで帰らない
- 失敗してもめげずに色々な方法を試す
- 熱意をもって説明・説得する
などの行動が考えられます。
そのため、仕事に前向きに頑張っており、こういう傾向がある人なら、小細工をせずともだんだんと周りとの関係が良くなる可能性があることを知っておきましょう。
逆に、人間関係を改善するためだけに頑張っているように振る舞うのは、周りから見透かされてしまうと逆効果になるので、止めておきましょう。
仕事に厳しい人への2つの対処方法
仕事への成果にシビアなために周りに厳しく当たる人に対しては、相手が望むレベルの仕事をこなすのが一番です。
そんなときは、成果が十分でなくても、以下のコツを意識することで、態度を軟化させる方法があります。
質問は仮説をぶつける
指示を受けて仕事をするなかで、質問が必要になることがあります。
その時には、やみくもに「これはどうしたらいいですか?」と聞くのではなく、「これは○○ということでしょうか?」と自分なりに考えた仮説をぶつける聞き方をしましょう。
なにも考えずに闇雲に聞くだけでは、「少しは自分で考えろ」と突き返されてしまう危険がありますが、この方法だとそれを回避しやすくなります。
たいして説明もせず、「わからなければ聞け」と仕事を投げてくるくせに、質問したら「自分で考えろ」とクソみたいな返しをしてくる上司がいますが、この方法ならある程度対応できるようになります。
適切な報告をする
上司への報告は仕事をするうえで必須ですが、この報告が意外と厄介で、報告が少ない、内容が浅いと怒られる危険があります。
逆に、適切な報告ができれば、上司から怒られる危険を減らしつつ、認められる可能性を高められます。
報告は、以下の二つの要素に分解できます。
- 報告の頻度(毎日・毎週・進捗度に応じて)
- 報告の詳しさ(結果だけを簡潔に・経過も詳しく)
どのくらいの頻度で、どのくらいの詳しさの報告がベストなのかは、上司のタイプや、仕事の重要性によって変わってきます。
そのため、仕事ごとに適切な報告の形を探り、それに沿って欠かさずに報告を行いましょう。
報告が抜けたり、適切でない報告をしてしまうのは、仕事に厳しい上司からすると「仕事への意識が低い」と感じさせ、厳しく当たられやすい危険があります。
頻度と詳しさという2点で報告の形を決め、欠かさずに行うことが重要です。
とはいえ、だいたいの場合は、適切な報告を教えられないことが多いです。
そのため、こちらから早いうちに
「この件の報告は、〇〇のタイミングでよいですか?」
「経過も詳しくお伝えしたほうがいいですか?・結果だけお伝えしたほうがいいですか?」
と聞いちゃいましょう。
そうすると、何らかの答えが帰ってくるので、それに合わせて報告をすればいいです。
また、仕事が進んでくると、あなたへの信頼が高まったり、仕事の重要性が低くなるなどで、報告を変えたほうがいいこともあります。
とにかく仕事は早くする
そして、仕事の速さも重要です。
仕事に厳しいタイプの人間は、仕事の速さに敏感です。
すぐに終わる仕事はすぐに終わらせるようにし、そうはいかない場合は、進捗度の報告を欠かさないようにしましょう。
また、この手のタイプは、「仕事が遅いけど丁寧」よりも、「少々雑だけと仕事が早い」ほうが望まれる傾向があります。
多少仕事ができなくても、仕事が早ければ「一生懸命仕事をしている」と思われ、態度が軟化する可能性があります。
モラルが低い相手への2つの対処方法

モラルの低い相手へは、ここまで紹介してきたような正攻法以外にも、邪道とも言うような方法があります。
相手がまともな人間ではないなら、こちらも、まともな接し方をする必要はありません。
関わらずにすむ方法を模索する
仕事は自分で完結しないのが普通なので、簡単にはいかないかもしれませんが、できる限りモラルの低い人間に関わらず・頼らずに仕事ができないか模索してみましょう。
自分でできるなら、わざわざ頼まずにやってしまったり、苦手な相手以外に頼ることが考えられるかもしれません。
直接報告する以外にも、メールやチャットで済ませたり、まとめて報告することで話す機会を減らすなどの工夫も考えられます。
環境にもよりますが、色々な方法で相手と関わらない方法を工夫してみましょう。
我慢せず対抗する
明らかなパワハラ・セクハラをしてくるような人間には、我慢せず対抗する方法もあります。
一番の対抗方法としては、相手の問題行動を、しかるべきところに訴える方法です。
問題となる言動を録画や録音し、社内の人事や総務・労働基準監督署に訴えれば一番いいですが、時系列で被害状況を記録し、同様の機関に相談する方法もあります。
人事部に相談する場合は、証拠や時系列のメモを出しながら相談すればよいですが、労働基準監督署に相談する場合は、事前知識がないと失敗する可能性があります。
労基への相談については、こちらのサイト(通報してやる!労働基準監督署での全手続きとトラブル解決のポイント)の記事が参考になるでしょう。
これがうまくハマれば、相手を異動させられる可能性が十分あります。
それ以外にも、正論で言い返したり、周りと団結してプレッシャーを与えるなど、意外と色々な方法があります。
しかるべきところへ訴えるのが難しい場合でも、諦めずに色々な方法を試してみましょう。
様々な抵抗方法については、こちらのサイト(部下を退職に追い込む上司のやり口を知り、3つの方法で逆襲してやろう!)に詳しくまとめられているので、参考になると思います。
ちなみにこれも大切「自分を否定しないこと」
仕事で人間関係が上手くいかないときには、このように色々な対処法があります。
どんな方法をとるのがベストかは、状況によっても変わりますが、それに加えて、自分自身を否定しないことも非常に重要です。
仕事に厳しい上司に当たった場合や、嫌味や嫌がらせをしてくるような人間と関わっている場合は、ともすると、「自分はダメだ」と思いつめてしまうこともあります。
あくまで仕事は人生の一部であり、仕事の場であなたが否定されたとしても、それはあくまで仕事という限られた部分だけでの話です。
あなたを攻撃してくる言動を真に受けてしまい、自分でも自分を否定してしまうと、さらにストレスがかかってしまい、最悪の場合は体調を崩してしまいます。
繰り返しになりますが、たとえなにか言われたとしても、それは仕事という限られた部分での話に過ぎません。
人間関係の悩みを救ってくれるオススメ書籍3冊
最後に、人間関係のストレスを解決するためにヒントになるおすすめの書籍を紹介します。
私が実際に読んだ書籍のうち、学びが多く、今も参考にしている書籍なので、人間関係のストレスから助けてくれるヒントを得ることができると思います。
人を動かす
1930年代にアメリカで発売された書籍で、人と対立せず、協力的にさせる方法について、筆者の体験談をもとにまとめられています。
実際、その内容は今でも十分に役に立つもので、「思いやりフレーズ」の考え方は、本書の内容をもとになっています。
その他にも、
- 相手に指摘するときは自分の失敗も伝える、
- 相手に非があっても、その言い分を認める
などの、人と協力的な関係を作るための具体的なノウハウが詰まっています。
人間関係に困っている人に関わらず、部下がいる人や、人に依頼することが多い人には必見のテクニックが学べます。
頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法
他人とのいざこざにエネルギーをとられ、人間関係に苦労していた筆者が、その怒りのエネルギーとの向き合い方について紹介した一冊です。
比較的最近の著作ですが、まんが版の出版もされているので、かなり人気のある書籍だと思われます。
ふつう、屈辱的な仕打ちを受けた相手には、「倍返しだ」とばかりにやり返すことを考えたくなってしまいますが、本書では、そんなアホへの対応にエネルギーを咲くのは時間の無駄とバッサリ。
怒りの感情に囚われず、本当に大切なことにこそ時間とパワーをさくべきだと断言しています。
本書の考え方は、「相手が変わることに期待してはいけない」というスタンスの参考になっており、相手を変えようと悩むよりも、自分の対応を変える方が建設的だということを教えてくれました。
プロフェッショナルサラリーマン 「リストラ予備軍」から「最年少役員」に這い上がった男の仕事術
大手企業にて最年少取締役に上り詰めた筆者による、社内で出世するための処世術が紹介されています。
リストラ予備軍から一念発起し、最年少で取締役に出世した筆者が、会社組織内で大きな成功を収めるために実践したことや、その考え方が紹介されています。
本作で私が一番参考になったのは、「上司は仕事の仕入先であり、それに人間性を求める必要はない」いう考え方です。
「上司は助けてくれる存在・自分を育ててくれる存在」などの幻想を抱かず、主体的に仕事に取り組み、成功するための考え方が紹介されています。
本書の内容は、会社組織で成果をあげるためのマインドに特化しているので、その考え方を学べば、「仕事に厳しい人」に近い考え方を身につけることができます。
その結果、厳しい人の考えがわかり、指摘されることが少なくなったり、評価される可能性もあります。
自分を責めず、相手に期待しないことが効果的
仕事での人間関係のストレスを少なくする方法を紹介してきましたが、大切なことは
- 相手に期待しない
- 自分を責めない
の2点だと私は思っています。
あくまで仕事という人生の中の一部分の話に過ぎないので、悩みすぎることは止め、自分の対応を変えてみることで解決できないか考えてみましょう。
この記事では、色々な視点からまとめているので、そのなかでしっくりくるものから試してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、「仕事は仕事」として割り切って考えることもオススメです。
仕事をするのは家族や自分の趣味のためであり、仕事はお金を稼ぐための手段に過ぎないから、「多少面倒くさいことがあっても仕方がない」と割り切ることで、ストレスを溜めない方法もあります。
詳しくはこちらの記事で詳しくまとめているので、何かと会社や上司に不満を感じている人には特に参考になると思います。
まじめに働くのが馬鹿馬鹿しい?割り切ればそんなことどうでもよくなる。
