「残業が多すぎる」というのは、仕事の悩みの中でもよくあるものです。
やりがいがあったり、給料が多いとしても、睡眠や休息が十分にとれないほどの環境だと「辞めたい」と感じるのも無理はありません。
最近は働き方改革が言われるようになり、残業を減らす意識も高まっていますが、それでも多すぎる残業に苦しむ人も多いはずです。
あまりに労働時間が長すぎる場合は、体調を崩してしまう可能性があり、そこにストレスが加わるとさらに危険です。
そこで今回は、激務な状態が続くことの危険性と、そこから抜け出すための方法についてまとめました。
- 残業が多すぎるために仕事を辞めたいと考えている人
- 残業が多すぎる今の仕事を続けていいのかを迷っている人
は、この記事を読むと、自分が転職したほうがいいか、残業時間が多い環境から転職するにはどうしたらいいかが、わかるようになると思います。
目次
残業時間、どのくらいから異常レベル?
まずは、そもそも「残業時間が多すぎる」と判断できるのは、どれくらいのラインからでしょうか。
残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。
また、臨時的な特別の事情がある場合は、45時間を超えても良いとされていますが、
- 一年で720時間以内であること
- 二ヶ月以上の平均が80時間を超えないこと
- 一ヶ月で100時間未満であること
という制限があります。
つまり、大雑把にまとめると、
基本的には、残業は月間で45時間以内に収まるのが普通であり、特に以下の条件を満たしてしまうと法令違反のブラック企業である。
- 一ヵ月でも100時間を超える
- 100時間を超える月がなくても、80時間を超える月が二か月以上存在する
- 80時間を超える月がなくても、ひと月当たりの平均が60時間を超える
と考えていいでしょう。
なお、ひと月の営業日が20日と計算すると、
- 毎日2時間の残業だと、20日×2時間=40時間
- 毎日3時間の残業だと、20日×3時間=60時間
- 毎日3時間の残業+4日間の休日出勤だと、60時間+4日間×8時間=92時間
という計算になります。
普段のあなたの状況はどうでしょうか?
①より多いと、一般的に残業が多め
②以上だと、法令違反ぎりぎりレベル
③以上だと法令違反クラス
と考えられると思います。
残業時間としてカウントされない「拘束時間」も
また、残業時間としてカウントされない実質的な労働時間もあります。
私は以前塾業界で働いていましたが、以下のような状況でした。
- 本来は週休二日だが、講習やら保護者説明会で実際は週休一日(若手社員は「勉強」の名目でタダ働きを強制)
- 休みの一日も、次の週の授業のための勉強が必要
- 就業時間は昼だが、午前中から研修に強制参加(もちろん給料なし)
- ゴルフや打ちっぱなしの練習に強制参加
「休日出勤」「勉強」「研修」「強制ゴルフ」のコンボで、自分の時間はほとんど取れない状態が当たり前の毎日でした。
労働時間が長いだけでなく、半強制な手伝いや付き合いによって、実質の拘束時間が長い場合も、同じような状況だと思います。
働きすぎるあなたを待ち構える未来予想図

それでは、こんな環境で働き続けていると、あなたにはどんな未来が待っているのでしょうか?
2つの危険な未来が待ち構えていると思います。
心身の破壊
残業時間や拘束時間が多すぎる、いわるゆ「激務」な状態が続くと、心身の異常が出てくると言われています。
こちらのサイト(「過労」はサイレントキラー 体力がある人ほど注意)では、以下のような異常が出て来ると言われています。
- いつまでも疲れが取れない
- 精神的に不安定になり、些細なことでもイライラする
- 記憶力が弱くなり、うっかりミスが増える
- 夜寝る前も仕事のことが頭から離れなくなる
このような症状が続く結果、不眠症、最悪の場合はうつ病を発症してしまう危険があります。
さらに恐ろしいのは、長時間労働による過労は、「サイレントキラー」と言われ、いつの間にかあなたの体を壊してしまうという点です。
過労はいわば「サイレントキラー」です。
本人が気付かないままじわりじわりと疲れが蓄積していき、元来が丈夫で健康な人ほど決定的な症状が出てくるまで時間がかかります。・・・
そして最も怖いのが「過労死」です。疲労が高度に蓄積すると、何の持病も持っていなかったはずの人が急に不整脈、心筋梗塞や脳出血、脳梗塞といった致命的な病気を発病して頓死してしまうことがあるのです。
いったん心身を壊してしまうと、働けない体になり、回復に時間がかかるほか、再発に気をつけながら働かなくてはなりません。
生きていくためにお金を稼いで仕事をしているはずなのに、その仕事が原因で健康に生きていくことができなくなるという、本末転倒な状況になってしまいます。
生涯独身・家庭不和
激務が続くと、プライべートの時間に何もする気力が起きなくなります。
恋人ができるような機会もなく、付き合っている人がいても、遊ぶ時間やコミュニケーションの機会も減り、だんだんと疎遠になってしまうでしょう。
この状態が続く限り永遠に結婚出来ず、生涯独身を貫く人生になりかねません。
また、結婚している場合も、残業時間が多すぎて家庭に関われない状態が続くと、配偶者や子供たちとの距離も遠くなります。
昭和の時代は、夫が仕事一筋で家のことは妻がすべてやる・・なんていう価値観が一般的でしたが、そういう時代は終わりました。
高度経済成長期のような昇給もないため、激務なのに一家を養えるだけの給与を稼げず、共働きになることもあります。
そのため、仕事に忙殺されて、家庭のことを顧みないと、家族から見放されるという危険性もあります。
それでもあなたは残業し続けますか?
多すぎる残業を続けると、このような危険があなたを襲います。
健康や家族という、人生の中でも最も大切にすべき要素を失ってしまう可能性があることを理解してください。
私は、人生は短距離走(ダッシュ)ではなく長距離走(マラソン)だと思います。
若いころは無理がきいても、年を重ねるうちにそうはいかなくなってきます。
あなたの会社に、40代を超えても激務な環境で働き続けている人はいるでしょうか?また、そういう人になりたいでしょうか?
残業時間が多すぎる人の転職活動のセオリー

では、激務な人が転職活動をする際にはどうしたらいいでしょうか。
失敗しない転職活動をするための基本は、次を決めてから辞めることです。
先に辞めてから転職活動をすると、なかなか決まらない場合に焦ってしまい妥協し、結局環境の悪い会社に入ってしまう危険があるからです。
しかし、残業時間が多すぎる場合は、そうも行かないのが実情でしょう。
60時間以上は先に辞めるのもやむなし
残業時間の平均が60時間を超えている場合は、仕事をしながら転職活動をするのは体力的に辛いものがあると思います。
特に、80時間を超えると体力的なレベルではなく、物理的にほぼ不可能と言えるので、先に辞めてしまうのもやむを得ないでしょう。
また、毎月平均60時間以上の残業は法令違反レベルなので、退職理由に残業の多さを挙げたたとしても、普通は理解してもらえます。
なお、まれに残業時間が法令違反クラスなのに、手取りが20万以下という恐ろしいケースがあります。
残業時間が多いけどその分収入もある仕事や、収入が低いけど残業時間は短い仕事はたくさんあります。
上手く転職できない場合でも、まだどちらかのタイプの仕事に転職した方がマシです。
もちろん向き不向きがあるので、簡単にはいかないかもしれませんが、激務&低収入は、即刻抜け出すべき最悪な環境だと考えておいた方がいいです。
45時間程度なら在職しながらのほうがおすすめ
60を超えず、45時間程度の場合は、楽ではありませんが、在職しながらの転職活動も不可能ではないと思います。
また、60時間以上ケースにも言えますが、同じ業界・職種に転職しても残業時間が変わらない可能性があるので、他の業界や職種もじっくり考えながら慎重にすすめましょう。
なお、失敗しない転職活動の進目方のコツは、こちらの記事にまとめています。
転職に失敗したくない人は、私が見事に失敗した話をぜひ聞いてください。

ちなみに、この場合は、求人探しや応募業務をあなたの代わりに行ってくれる転職エージェントサービスを利用することもおすすめです。
あなたの履歴書や経歴・希望を伝えることで、その条件にあった求人を紹介してくれるだけでなく、企業への連絡を代行してくれるので、転職活動の手間や負担が減ります。
また、他の業界や職種の転職のアドバイスにも載ってくれるので、激務な環境から抜け出すために、未経験の仕事を目指す場合も心強いでしょう。
幅広い年代・業界の求人を保有している「dodaエージェントサービス」
20代の転職支援に特化している「ハタラクティブ」
などのサービスがおすすめです。
※ハタラクティブは、登録後、確認の電話(0120-979-185)がかかってきます。
なお、そのほかのおすすめサービスや、転職エージェント利用時のコツや注意点についてはこちらの記事でまとめています。
転職エージェントってどんな感じ?【利用手順・オススメ・メリット・注意点・活用法まとめ】

辞められない場合は退職代行がおすすめ
また、社員に長時間の残業をさせている会社は、モラルが低いブラック企業であることが多く、退職の旨を伝えると、「甘えるな!」と逆ギレしたり、「訴えるぞ!」恫喝してくる場合があります。
そういう場合はなおさら早く脱出したほうがいいですが、そんな環境に居続けてしまうと、辞められないと思い込んでしまい、動き出せないかもしれません。
この場合は、退職代行サービスを利用してでも、なんとかして去ってしまうのをオススメします。
退職代行サービスは、あなたの代わりに会社に辞める旨を連絡してくれるので、業者に依頼するだけで自動的に辞めることができます。
退職届などの書類は自分で作成することになりますが、代行業者の指示に従うだけで、会社と直接交渉せずに辞められるので、とにかくストレスなく、今の環境から抜け出せます。
また、即日会社に行かずに辞められるケースも多く、激務な状況からすぐに解放されることも大きな魅力です。
「辞めるのを自分で言わないのは不誠実」だと感じるかもしれませんが、そもそも、まともに対応してこない相手に、誠実な方法で対応する必要なんてありません。
代行サービスの大手業者で、親身な対応が評判の「退職代行Jobs 」
弁護士が対応してくれるので、未払い残業代の請求もできる「退職110番」
といった業者がおすすめです。
そのほか、タイプ別おすすめの業者や利用手順、利用時の注意点などを、こちらの記事でまとめています。
退職代行を使いたい人へ、手順・おすすめ・メリット・注意点・料金など・・疑問にしっかり答えます。

責任感が強く真面目な人ほど会社に壊される
違法レベルの長時間残業は、あなたの体や心、大切な人とのつながりを壊す危険な環境です。
残業が多いのは、「本人が仕事をうまくこなせないからだ」という主張をしてくる経営者や上司がいるかもしれません。
しかし正常な会社組織は、適切に仕事量をコントロールします。
会社として適切に動けていないことを棚に上げて、従業員に犠牲を強いてくる、ろくでもない組織だと考えるべきです。
責任感が強く、真面目な人ほど、そういう会社の主張を真に受けてしまい、辞めることは甘えだと感じてしまう危険があります。
こちらの記事では、「仕事を辞めるなんて甘えだ」という、良く言われる言葉に騙されてしまわないための考え方についてまとめています。
「仕事を辞めたい?甘えるな!」あなたはこの言葉に騙されていませんか?
